PEDro scaleの解説

PEDro scaleの趣旨

臨床試験はPEDro scaleと呼ばれるチェックリストにより評価されています。検索結果として示される書誌情報の中に項目別に“yes”“no”の表示により、適合性の有無が表示されています。さらに、PEDro scaleの合計点数が数字で表されています。

PEDro scaleでは臨床試験の「信頼性」(もしくは「内的妥当性」)とその臨床試験が適切な統計学的情報を含んでいるかどうかということは評価していますが、治療効果の大きさの「意義があること」(もしくは「一般化しうること」もしくは「外的妥当性」)は評価していません。

信頼性を評価するために、無作為割当て、割当ての仕方の秘匿、集団を基本線上で比較可能にすること、患者・治療者・評価者の盲検化、intention to treat分析、充分な追跡率など多くの判断基準の明白な確証を求めています。さらに、統計学的群間比較および点推定と信頼区間測定の両方の報告を求めています。各項目の点数が1点で、満点だと10点となるように設定されています。

外的妥当性の評価は、点数外の項目として参考程度に追加されているだけです。
以下に、PEDro scaleの評価項目の内容について概略を示します。

評価項目の概要

Random allocation
対象は比較する群に無作為に割り当てられているか。(crossover studyの場合、対象は治療を受ける順番について無作為に割り当てられているか)
Concealed allocation
比較する群への割当ての仕方は隠されたか。
Baseline comparability
比較した群間では最も重要な予後の指標について基本線で類似していたか。
Blind assessors
治療効果を示す結果の計測を行った評価者に盲検化はされたか。
Blind subjects
すべての対象者に盲検化はされたか。
Blind therapists
治療を施行したすべての治療者に盲検化はされたか。
Adequate follow up
治療効果を示す結果の計測は比較した群間に割り当てられた対象者の85%以上について実施されているか。
Intention-to-treat analysis
結果の測定が可能なすべての対象者において、治療効果を示す結果のデータが、“intention to treat”に基づく解析をなされているか。その治療を受けた群、もしくは割り当てられたままのコントロール群、もしくは脱落した群も、すべて解析に含まれているか。
Between-group comparisons
治療効果を示す結果について、統計学的群間比較の結果は報告されているか。
Point estimates and variability
その研究は治療効果を示す結果について、(統計学的に)点推定値と信頼区間の両方を提示しているか。
Eligibility criteria(点数外)
適格性の判断基準は明記されているか。

その文献の内容の内的妥当性(統計学的に適切な情報を含んでいるか)だけでなく、外的妥当性(その文献の内容をそれ以外の事例について一般化できるかどうか)に影響を与える項目なのでPEDro scaleの評価点数には含まれていません。

2009年05月01日掲載

PAGETOP