イラストで見るEBPTの実践
第1回 「EBPT はじめの一歩」

2. 理学療法士としての臨床判断

新人PTのA氏が先輩PTのB氏に報告している場面
新人PT:
○○さんの状態は、右膝に軽度の腫脹があり、右膝内側に中等度の運動時痛があります。
運動時痛は、階段昇降時にとく痛みが強くなるという状態です。
関節可動域は、右膝の屈曲が110°で痛みが出現します。
筋力は、MMTで、左膝は屈曲、伸展ともに5ですが、右膝は、屈曲、伸展ともに4レベルです。
歩行速度は、10mが25歩、23秒とやや遅くなっており、50m程度歩くと右膝内側に中等度の痛みを訴えられます。
治療プログラムとしては、右膝の関節可動域運動と徒手抵抗を用いた筋力強化を行おうと考えています。
先輩PT:
右膝の痛みには何を行いますか?
新人PT:
超音波療法を行おうと思いますが、連続波とパルス波のどちらの方が疼痛緩和により有効なのか文献を調べてみようと思います。
先輩PT:
そうですね。それでは、EBPT(Evidence-based Physical Therapy)の概念に則って臨床判断を進めていくことにしましょう。
新人PT:
えっ、EBPTですか?
実は、申し訳ありませんが、私はあまりEBPTについて理解できていないのですが・・・
先輩PT:
Aさん、大丈夫ですよ。
EBPTは、進め方のコツさえつかめていれば決して難しいものではありませんよ。
しかし、Aさん自身も協会のホームページにあるEBPTチュートリアルにアクセスして、自分自身で勉強するようにしてくださいね。
アドレスは、http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt/です。
まずは、基本的なEBPTの進め方について説明しましょう。
臨床現場においてEBPTを実践していく上での基本的な進め方は、
ステップ1:疑問点の定式化
ステップ2:疑問点に関する情報の検索
ステップ3:得られた情報の批判的吟味
ステップ4:得られた情報の患者への適用の検討
ステップ5:プロセスおよび適用結果の評価
という5つのステップとなります。
それでは、まず、ステップ1の疑問点の定式化からはじめていきましょう。

第1回 「EBPT はじめの一歩」 目次

2011年04月25日掲載

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