イラストで見るEBPTの実践
第4回 「アウトカム評価指標を臨床で活用しよう」

群馬大学 医学部 保健学科
臼田滋

イラスト執筆:
大阪電気通信大学 総合情報学部
デジタルアート・アニメーション学科
しもはたふゆ

4. アウトカム評価指標を使ってみてわかったこと

アウトカム評価指標を使ってみてわかったこと
新人PT:
○○さんにお願いして、DGIを測定してみました。
先輩PT:
安全に測定できましたか?
新人PT:
○○さんは項目によって怖がるものもありましたけど、転んだりせずに実施できました。最初だったので、ちょっととまどったりしましたが、10分くらいで短時間に実施できました。
先輩PT:
それは良かったわね。それで結果はどうでした?
新人PT:
全体で満点の24点に対して14点でした。平地歩行や方向転換、階段はまあまあでしたが、速度を変えることが難しかったですね。それから、顔の向きを変えたり、方向転換などは、かなり歩行速度が遅くなってしまい、どれも1点でした。いつも○○さんは足元をみながら、真っ直ぐに、一生懸命歩いていることが多いので、このテストは難しかったようです。
先輩PT:
○○さんの感想はどうでした?
新人PT:
少し怖かったそうですが、家に帰ったら、歩きながら周りをみたり、物を避けたりすることも必要なことに気がついたそうです。普段の歩行練習の時も、少し気をつけて練習しようと思います。
先輩PT:
テストを行ってみて良かったわね。テストへの慣れの影響もあるので、数日中にもう1回測定してみてください。その後は週1回測定をして、経過をみてみましょう。
新人PT:
分かりました。慣れるだけでも得点が高くなるかもしれませんね。確かめてみます。今回、アウトカム評価指標の探し方や絞り込み方を教えて頂いてありがとうございました。今度は一人でもできそうです。DGIだけでなく、○○さんの歩行の持久性も退院後の生活に必要なので、6MDも今度測定してみようと思います。
先輩PT:
そうね。DGIよりも測定に時間がかかるので、少し大変かもしれないけど、退院後の屋外歩行や買い物などに必要な要素なので、ぜひ測定してみて、その結果も教えてください。
新人PT:
分かりました。今回調べてみたStrokEDGEは推奨グレードもあって参考にしやすかったですね。他のガイドラインなども時間があったら、見てみます。
先輩PT:
推奨グレードは分かりやすいですね。StrokEDGEは、他にも評価指標毎に学生で使用方法を学習すべき指標や体験すべき指標の教育的な推奨も示されていて、参考になるわね。日本でもこんなデータベースがあると便利よね。
でもこれらの推奨グレードはガイドラインやデータベースの編集者の判断した一つの指標に過ぎないので、患者さんの状態などでは違う判断もできると思います。あくまでも参考の一つにして、評価指標の特性を自分で判断するようにした方が良いですよ。アウトカム評価指標を臨床で活用して、個々の患者さんに対する理学療法の効果を蓄積することが科学的根拠を作ることになりますから、積極的に使っていきましょうね。機会があれば、この病院でも、縦断的観察研究や介入研究を行ってみましょうね。→研究デザイン前向き研究観察研究ランダム化比較試験
新人PT:
おもしろそうですね。患者さんのためにもなりそうですし、是非やりましょう。今回はありがとうございました。

第4回 「アウトカム評価指標を臨床で活用しよう」 目次

2011年09月02日掲載

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