イラストで見るEBPTの実践
第5回 「論文を活用して患者の予後を探ってみよう!」

弘前大学大学院 保健学研究科
対馬栄輝

イラスト執筆:
大阪電気通信大学 総合情報学部
デジタルアート・アニメーション学科
しもはたふゆ

3. 頼りになる評価ってなに?

頼りになる評価ってなに?
新人PT:
HDS-Rのオッズ比は33.9倍ですから、かなり大きなカギを握っている評価基準になりますね。それでは、感度、特異度、的中精度、オッズ比の全てが高い評価法が最も良いことになるのでしょうか。
先輩PT:
確かにその通りですが、現実には難しいです。それらの指標の全てが高い検査法は望ましいですが、たいていは費用と時間のかかる検査法となります。
そこで臨床では、いくつかの検査を組み合わせて判断する方法が理想です。例えば最初に、感度の高い検査法で、ふるい分け(スクリーニング)検査を行います。感度が高い検査では、歩行可能な者を見逃す間違いが少ないです。しかし、歩行不可能な者も歩行可能と予測してしまいます。そこで次に、特異度の高い検査を行って、歩行不可能と判断された者を除外します。
このように、性格の違う検査法を組み合わせて、有効な確定判断ができるようになります。臨床で簡単に用いる検査の的中精度を上げるには限界があるでしょうし、それぞれの検査の特徴を考慮して組み合わせると良いでしょう。
スクリーニング

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2011年09月02日掲載

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