イラストで見るEBPTの実践
第6回 「中枢神経疾患治療に新しい風を送ろう」
社会医療法人財団慈泉会相澤病院 リハセラピスト部門
大塚 功
イラスト執筆:
大阪電気通信大学 総合情報学部
デジタルアート・アニメーション学科
しもはたふゆ
1. 新規担当患者は脳塞栓症の左片麻痺。さて、どうする?
- 先輩PT:
- Aさん、昨日から始まった脳卒中リハビリテーション病棟に入院された○○さんの初回評価の結果はどうでしたか?
- 新人PT:
- えーっと。心原性脳塞栓症で右中大脳動脈の閉塞による左片麻痺の患者さんですね。発症から3週間経過していますが、左上下肢の随意性は、ブルンストロームステージで上肢Ⅲ、手指Ⅱ、下肢Ⅳです。
- また,麻痺肢である左上下肢の感覚障害と、それから・・・左半側空間無視もあります。
- 先輩PT:
- 理学療法を行う上でのリスク管理は何かある?
- 新人PT:
- 既往歴に心房細動があります。しばらく心電図と心拍数をモニタリングするよう主治医から指示が出ています。昨日はモニタリング上、特に問題はありませんでした。
- あっ、あと、最近起立がお一人で可能になりつつあるのですが、注意障害の疑いもあって転倒のリスクが高いと思います。
- 先輩PT:
- すると今後の歩行やADLの自立判定は慎重に行わないといけませんね。それで現状の基本動作と歩行能力はどうですか?
- 新人PT:
- 座位は安定していますが、起立は手すりを使用すれば可能ですが麻痺側への不安定性があり見守りが必要です。急性期病院では平行棒内で歩行練習を行っていたそうです。
- 昨日のカンファレンスで、PTはまず歩行の獲得、OTは排泄動作の自立を目標に、PT4単位、OT4単位、ST1単位でリハを進めることになりました。
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