Cross-educationとは疼痛や麻痺により直接アプローチが困難な筋群(目的)の反対側の筋群(より筋力がある側)の抵抗運動を用いて,目的の筋肉群の強化を期待する訓練法です.本論文につて
批判的吟味を行った結果,介入群の
脱落者が多いことと,Cross-educationの詳細な負荷量の決定方法の記載が不十分ではあったものの,本症例においては介入当初疼痛の訴えが強かったためCross-educationは本症例に適した方法であると判断し実施致しました.介入中の有害事象[→
イベントを参照]はなく安全に実施できました.本論文中にCross-educationの負荷量の決定方法の詳細が示されていなかったため,本文に記載されていた回数を実施できる強度で実施しました.本論文と本症例の
ベースラインや介入時期については相違があり,また介入方法も異なる可能性があるため,本症例と本論文における介入群の結果を比較し,同程度の効果が得られたと判断することは難しいと思われます.本症例においては関節可動域の改善は良好でしたが,握力の改善が不十分であり,動作中に疼痛が生じることはあります.しかし,本症例のHopeである「元通り家事動作ができるようになりたい」ということについては可能となり,本症例にとってCross-educationによる介入は有意義であったと考えられます.