この採用論文は、急性期のギランバレー症候群患者を対象としているため、病期の違いがあることにまず注意が必要でした。一方で、対象の包含基準[→
採用基準を参照]や
除外基準が明確に記載されています。さらに、NMESの詳細な方法についてオンラインで入手可能な解説(サプリメント)に記載されているため、本症例に対する理学療法介入の参考になると考えました。また、対象者の重症度はGBS disability score 4レベルであり、本症例と同等でした。
研究デザインに関して、ランダム化[→
無作為化を参照]の割付は右または左大腿のいずれかで電気刺激を受ける側を無作為に設定し、非刺激側を対照群としています。同一患者での刺激側と非刺激側でランダム化されていることは適切であるのか、疑問が残ります。その影響か、結果では大腿四頭筋の横断面積、膝伸展の最大等尺性筋力共に
有意差は認めませんでした。ただし、NMESの有害事象[→
イベントを参照]は認めなかったと報告されていました。
以上より、本論文は、対照群を別に設けることが困難であるという限界があり変則的な設定ではありますが、安全性や実施プロトコルが提示されたギランバレー症候群患者に対するNMESの介入効果の検証を試みた数少ない論文であると言えます。また、結果はNMESの介入によるネガティブな影響を認めず、この論文のみにより介入効果が無いと立証されたわけではないと判断できますので、方法と禁忌を確認しながら本症例に適応できると考えました。