PFPS患者69名(年齢16~40歳)を無作為に3群に分け、8週間の介入を行った。
(A)VMOの選択的な再教育を中心とした理学療法プログラム(選択群)23名
(B)通常の大腿四頭筋の筋力強化を主体とした理学療法プログラム(通常群)23名
(C)非治療群(対照群)23名
治療内容について、選択群はMcConnellのアプローチに従い、①表面筋電計を用いたVMOのバイオフィードバックトレーニング、②動的な異常アライメントの修正や中殿筋の筋力トレーニング、③McConnellのテーピング、④軟部組織のストレッチ、⑤膝蓋骨のモビリゼーション、⑥ホームプログラムを行った。
通常群は、①求心性および遠心性収縮を用いた大腿四頭筋を主体とする下肢の筋力トレーニング、②動的な異常アライメントの修正、③テーピング(U字型)、④A群と同様のストレッチおよびモビリゼーションを行った。
評価項目は歩行立脚相および降段時(31㎝)の膝関節屈伸運動範囲、5m平地快適歩行速度、膝関節伸展可動域、利き脚での最大跳躍距離(triple hop test)、McGill Pain Questionnaire(MPQ)、Modified Functional Index Questionnaire(MFIQ)、SF-36、Patient Generated Index(PGI)、PIM:NRS-101スケールを用いた過去1ヶ月間の平均疼痛点数である。
統計解析は、介入後の各評価結果について一元配置分散分析あるいはKruskal-Wallis検定を行い、有意差がみられた項目に関して、t-test またはMann-WhitneyのU検定にBonferroniの不等式による修正(P<0.017)を加えることで多重比較を行った。さらに、介入後の各群間の平均値の差についてCohen'dを用いて効果量(Effect size:ES)を求め、6段階で評価した。