研究デザイン:
無作為比較試験
対象:
30歳から45歳の交通事故による外傷性の上肢または下肢切断者20例で、VASで7点の幻肢痛を認める者。
健常肢への治療介入による促通効果を高める目的で、幻肢のみを認め幻肢痛のない切断者および両側性切断者は研究対象から除外されている。
介入方法:
20例の対象者は無作為に10例ずつの2群に分類され、グループⅠは幻像運動と義足練習を4週間実施した。グループⅡは従来通りの義足練習と切断レベルに応じた筋力増強運動、伸張運動、等張・等尺性の全身調整運動を各10回1日2回の頻度で4週間実施した。薬の影響を防ぐため被験者は4週間全の服薬が中止され治療が行われた。
グループⅠで実施された幻像療法は、(1)切断者はどの位置で幻肢を感じるか明確にし、(2)切断者が幻肢を感じる同じポジションに健常肢を置かせ、(3)両肢を反対側へ動かし、(4)開始肢位に戻す運動が15回あるいは幻肢痛が消えるまで繰り返された。再び幻肢痛を認めた被験者は運動の再開が指示された。
統計解析:
治療前後の幻肢および幻肢痛のVAS値はWilcoxon検定、Mann-Whitney U testにより危険率5%で検討された。