膝関節や股関節の角度における性差は、筋力の差異によるものと考えられる。
膝関節の外反と股関節の内転・内旋が生じるとされているが、本研究では股関節は外旋運動を示していた。これは、本研究では、最大角度を観察しているので、運動中の同一時間における各関節運動を観察して検討する必要がある。
前額面での関節運動では、明らかな性差が認めらなかった。これは、片脚スクワットでは膝屈曲角度が60度程度であったので、股関節をコントロールする筋の性差は顕著に現れないと考えられた。したがって、股関節の筋肉によるコントロールを段階的に獲得されるには、膝関節屈曲角度を小さいレベルから開始するほうが良いと考えられた。
筋活動については、大腿直筋と大殿筋で性差が見られ、女性のほうが大きかった。これは、女性の方が筋力レベルが低いためにより筋活動の動員が多かったと考えられた。また、中殿筋と長内転筋の筋活動に性差が認められなかったのは、今回の運動課題が矢状面方向の運動が主であったためと考えられた。さらに、3種類の運動課題では、筋活動量は30%程度であり低かった。これは、3種類の運動課題が股関節や膝関節の筋には大きな負荷をかけていないためと考えられ、リハビリテーションの初期の段階で導入される運動課題として適しているのではないかと考えられた。