第1段階(プロトコルの決定);エルゴメータは持ち運び可能で、上肢と下肢それぞれで回転運動が可能であり、電動アシスト機能も備えたKPT Cycla(Kinetic,France)とした。テスト肢位を座位、運動持続時間を6分間、回転数を毎分65回、運動強度の上限を70%HRmaxとし、これらの範囲内で筋力低下が顕著な患児でもテストを完遂できる最大抵抗量を決定するために、DMD男児3人(歩行可能2、歩行喪失1)を対象に予備実験を行った。結果的に、クランクの回転に抵抗をかけると3人とも下肢テスト(legs)と上肢テスト(arms)を完遂できなかったため、最終的にlegsとarmsのプロトコルは、測定肢位は座位、持続時間は6分間、電動アシスト機能(passive mode 1、無負荷の状態でクランクを1分間に7回転させる速度を補助)を用い、回転速度を指定せず被験者に自由なスピードで駆動させることとした。具体的なテスト手順はAppendixに記述されている。
第2段階(健常児での実行可能性、妥当性、信頼性の検討);小学校3校の男子児童99人(平均値;年齢9.9歳、体重35kg、身長1.4m)にlegsとarmsを実施した。うち2校の児童70人には6MWTも実施し、残り1校の児童には2週間後に再度legs(23人)とarms(22人) を実施した。全てのテストで6分間の駆動回数、心拍数(HR)、小児用自覚的運動強度(OMNI Scale;grade 0~10、not tired at all~very,very tired)、不耐性の徴候の有無(過度の筋痛、極度の疲労、めまい、不快感など)を測定・記録した。
第3段階(DMD児での実行可能性、妥当性、信頼性の検討);DMD男児30人(歩行可能18人、車いす使用12人)(平均値;年齢10.5歳、体重45.5kg、身長1.4m)にlegsとarmsを実施した。また、疾患の重症度を反映する運動機能評価(Motor Function Messure;MFM、評価項目数32、結果を96点満点に対する得点率(%)で表す、得点率が高いほど運動機能が保たれている)も実施した。