Lateropulsionは、Davisによって最初に報告され、あらゆる姿勢において麻痺側に傾倒し、姿勢の他動的な修正に対し抵抗する現象である。またLateropulsionのない患者と比較して、退院時の機能水準がより低く、入院期間が長期化することが報告されている。そのためLeteropulsionの早期の診断は重要であり、臨床においては、継時的な変化に対する感度や簡便に使用可能な信頼性と妥当性のあるツールは重要である。尚、このような現象の表現は、Pusher syndrome、Ipsilateral pushing、Listing phenomenonなど論文によって異なるが、本稿ではLateropulsionと定義した。
Lateropulsionの評価スケールに関するシステマティックレビューにおいて、Burke Lateropulsion Scale(以下BLS)は信頼性・妥当性のあるツールとして示されている。BLSは、寝返りのような難易度の低い課題から、歩行のような難易度の高い課題で構成されているため、Laterorulsionの詳細な評価が可能であるが、介入の効果や継時的変化を評価した研究は少ない。一方、脳卒中後の姿勢制御を評価するためのスケールとして、Postural Assessment Scale for Stroke(以下PASS)は信頼性・妥当性のあるツールとして報告されている。PASSは、歩行が困難な重度のLateropulsionを呈した症例であっても、ベッド上動作のような難易度の低い課題から構成されているため、Lateropulsionを呈した症例において有用であるかもしれない。