対象は歩行可能で週3回HDをおこなっている地域在住のHD患者19名(男性15/女性4, 年齢47.6±7.8)と年齢・BMIが同等で慢性疾患のない調査参加者19名(男性12/女性7, 年齢48.7±9.5)。
年齢、疾患、糖尿病の状況はhealth history questionnaireを使用して調査した。姿勢制御を定量化するため、対象者はフォースプレート(AMTI, Inc.)上に立ち、最初の2試行を静的立位で、最後の2試行を認知課題下で測定した。認知課題の1試行目は野菜と果物の名前をたくさん言う意味論的な単語の想起課題を、2試行目はHから始まる単語をできるだけ言う音声上の単語想起課題を二重課題として実施し、それぞれの課題で想起された単語数を記録した。フォースプレートは3つの力学構成である左右方向の力(Fx)、前後方向の力(Fy)、垂直方向の力(Fz)と、3つの軸の瞬間的な成分Mx, My, Mzを記録した。足圧中心(COP)は前後・左右軸でそれぞれ計算され、平均の速さはCOPの各方向の合計をトータル時間で割って計算された。DTCはShin等によって作られたものをもとに妥当性が計算され、単一の課題と二重課題間での変化として定義された。
解析にはSPSSが使用され、HD群とコントロール群を比較するために、カテゴリーが変数のものはχ2検定、連続変数のものは対応のないt検定がおこなわれた。 統計学的有意水準はp≦0.01で、効果量判定のためCohens’dが計算された。