無作為に抽出された1264名のAD患者のうち、本研究の参加基準を全て満たした在宅生活の210名(65歳以上、デイケア利用者)を対象とした。対象者は、ホームエクササイズ群(HE)70名、グループエクササイズ群(GE)70名、コントロール群(CG)70名の3群に無作為に分類された。
HEは週2回(1回につき1時間)の頻度で、12ヶ月運動を継続した。対象者は個別の運動処方が行われ、二重課題運動やバランス練習、有酸素運動などを含む内容を行った。GEは週2回(デイケアで過ごす4時間のうち1時間程度)の頻度で、12ヶ月運動を継続した。10名のグループに理学療法士が2名つき、二重課題運動やバランス練習、有酸素運動を含む運動を行った。CGは通常のケアに加え、口頭や書面による運動のアドバイスを受けた。
測定項目は、時計描画検査(CDT: clock drawing test)、語想起課題(VF: verbal fluency; animal category fluency)、Mini-Mental State Examination(MMSE)、臨床認知症評価(CDR: clinical dementia rating scale)とした。これらは、ベースライン時、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後に測定された(CDRはベースライン時のみ)。なお、CDTは遂行機能の指標、VFは遂行機能と意味記憶の指標として用いられた。