14論文のうち8つが前向きコホート研究、5つが横断研究、1つがケースコントロールで、ランダム化比較試験はなかった。
<前向きコホート研究>
8つの論文すべてが血液透析(HD)患者を対象に調査された。CKD患者の転倒発生率は1.18~1.60/人年であったと報告されている。転倒の危険因子について3つの論文で65歳以上の年齢、2つの論文で女性、過去の転倒歴、抑うつとその治療、1つの論文で男性、薬の数、フレイル、歩行障害、低栄養、合併症、糖尿病、高い教育歴が転倒危険因子に挙げられた。転倒関連の障害発生として、転倒に関連する骨折の発生率は3.9~4.0%と報告されている。また、転倒者の死亡のリスクは2.13倍、施設入所のリスクは3.5倍、入院のリスクと数・期間は2倍であった。
<横断研究>
5つの論文すべてが外来HD患者を対象に調査された。1つの論文で転倒発生率が調査され、転倒発生率は0.88/人年と報告されている。転倒の危険因子として1つの論文で年齢、性別、姿勢低血圧、25-OH-D(25水酸化ビタミンD:ビタミンD充足度の評価指標)が転倒の予測因子として考えられた。転倒関連の障害発生として、転倒者の11.2%に骨折が起こったと報告されている。
<症例対照研究>
1つの症例対照研究は入院中のCKD患者の転倒のリスクの評価をおこなった。転倒は1905名のうち635名で記録された。転倒の危険因子としては貧血、肺炎、不整脈、胃腸疾患、糖尿病が抗うつ薬と抗けいれん薬と同様に転倒のリスク因子であった。