本研究の目的は、膝蓋腱障害に対するステロイド注射、遠心性運動、高負荷低速度運動の3種類の介入プログラムの効果を比較検討することであった。本研究はランダム化比較試験であった。対象は運動習慣のある膝蓋腱障害を有する患者37人で、3か月の介入を完遂した。内訳はステロイド注射群(n=12)、遠心性運動群(n=13)、高負荷低速度運動群(n=12)であった。評価尺度はVisual Analog Scale(VAS)、Victorian Institute of Sport Assessment-Patella(VISA-P)、超音波所見、満足度などを含んでおり、3・6か月後にそれぞれ評価された。いずれの群においても、介入による明らかな悪化例はみられなかった。全ての群において、3か月後でVASとVISA-Pに有意な改善がみられた(p<0.05)。3ヶ月後から6ヶ月後にかけて、ステロイド群ではVASとVISA-Pが有意に悪化したが(p<0.05)、遠心性運動群と高負荷低速度運動群では変化しなかった。ベースラインから6ヶ月後のVASとVISA-Pの改善率については、ステロイド群と比較して高負荷低速度運動群において有意に高値を示した(p<0.05)。超音波所見による腱厚については、3か月後にステロイド群と高負荷低速度群において有意に低値を示した(p<0.05)。満足度については、6か月後において高負荷低速度群において最も満足度が高かった(p<0.05)。遠心性運動、高負荷低速度運動が膝蓋腱障害における痛み・機能障害を改善するうえで有効であることが示唆された。