脳性麻痺片麻痺児の上肢機能と選択的運動コントロールの関係を調査し、客観的で妥当性のある上肢の選択的運動コントロールの評価法の確立のために、研究が行われた。既定の動きをビデオカメラにて撮影し動作を採点する上肢の随意性検査としてSelective Control of the Upper Extremity Scale (SCUES)を開発した。内容的妥当性の検証は、経験年数が2~30年の臨床家8名で検討された。1名あたり34個の内容的妥当性に関する設問があり、content validity ratio を用いて最終的にSCUESを完成させた。作成されたSCUESを使用し、6名の作業療法士によって検者内・検者間信頼性の検証が行われた。検者内信頼性、検者間信頼性ともに肩関節や肘関節、前腕部分などで検証され、級内相関係数は0.60~0.76の範囲だった。構成概念妥当性の検証では、痙直型脳性麻痺片麻痺児25名(6~18歳)を対象にSCUESとShriners Hospitals Upper Extremity Evaluation (SHUEE)のspontaneous functional analysis section、Manual Ability Classification System(MACS)、Box and Block test(BBT)が行われた。SCUESはSHUEEと高い相関関係があり(r=0.69、p=0.00)、MACS(r=-0.24、p=0.37)やBBT(r=0.47、p=0.07)とは相関がなかった。SCUESはビデオを用いた脳性麻痺児の上肢の評価ツールとしての有用性が示唆された。