これまでの研究において機械的な咳介助(mechanical insufflation/exsufflation以下MI-E)は神経筋疾患の小児患者において有効性が確認されている。しかし、脳性麻痺四肢麻痺児においてのMI-Eの有効性は確認されていない。本研究の目的は、下気道炎を伴った脳性麻痺四肢麻痺児における入院期間と無気肺の改善に関してMI-Eと従来の呼吸理学療法(Conventional chest physiotherapy 以下CPT)で比較することである。
対象は下気道炎を伴う脳性麻痺四肢麻痺児(6ヶ月~18才)の22名(MI-E群11名、CPT群11名)とした。介入は、MI-E群は(3療法/日)、CPT群は(1療法/日)実施された。結果、入院期間に関してはMI-E群が平均入院期間9日(4-24日)、CPT群が平均12日(6-42日)であり、ややCPT群で長い傾向を示したものの両群に有意差は認めなかった。また対象者のうち無気肺を呈した症例(MI-E群9名、CPT群8名)では、無気肺の改善に要した時間はMI-E群が2.9±0.8日であったのに対してCPT群は3.9±0.6日となり、MI-E群で有意に治療時間の短縮が認められた。結論として、下気道炎および無気肺を伴った脳性麻痺四肢麻痺児に対するMI-Eの使用は、気道クリアランスの時間短縮に有用であり、安全かつ効果的な介入方法である。