ヒール靴を履くことは、運動学的及び運動力学的に歩行を変化させ、身体に悪影響を与える可能性がある。私たちの目的は、ヒール高が前額面の股関節、膝関節や足関節モーメントにどのように影響するかを調べることである。特に膝関節は可動性や変形性関節症の観点から重要視している。 15人の女性を屋外で使用する3つの異なるヒール高(1.0,5.0,9.0㎝)および一定の速度(1.3m/sec)や至適歩行速度で計測される一方、運動力学的および床反力計のデータを同時に収集した。その結果、一定の速度や至適歩行速度の両方において、ピーク膝関節外反モーメントはヒール高が増加するにつれて継続的に増加した(1.3m/sec:0.46,0.48,0.55Nm /kg ;至適歩行速度:0.47,0.49,0.53Nm/ kg)。前額面における股関節と足関節モーメントに対するヒール高の影響は、膝関節に対する関節モーメントに類似していた。ヒール高が増加するにつれてピーク膝関節外反関節モーメントが増加したことは、膝関節内側への負荷がより大きくなったと推測できる。ヒール高の増加に伴う足関節の運動力学的な変化は、膝関節に対する内側方向への負荷を増加したとも考えられる。全体として、ヒールを履くこと特に高いヒールを履くことは、変形性膝関節症や膝関節の内方コンパートメントシンドロームの症状や変形を助長させる可能性がある。