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　本研究は経皮的電気神経刺激（TENS）と体幹トレーニング（TT）併用の効果を検討した。対象は生活期脳卒中患者37名であり、TENS+TT群（併用群）、プラセボTENS+TT群（TT群）、トレーニングなし群（対照群）に割りつけた。在宅プログラムは6週間（週5回）であり、TENS（100Hz、パルス幅0.2ms）は麻痺側広背筋と外腹斜筋を対象とし、TTはブリッジ、座位、体幹屈曲・伸展、体幹側屈、体幹回旋、リーチの6種類で構成した（各10分）。アウトカム指標は体幹屈曲・伸展の等尺性最大トルク値、前方・側方の座位到達距離、Trunk impairment scale（TIS）とし、介入前、介入3週・6週、介入終了後4週時点で評価した。その結果、併用群とTT群は、介入3週後に体幹屈曲・伸展トルク、左右の座位到達距離、TISスコアが有意に改善した。また、併用群は他の2群よりも平均TISスコアが有意かつ早期に改善した。以上から、体幹へのTENSの追加は、3週間以内にTISスコアの改善を促進することが示された。

　脳卒中リハビリテーションにおいて、TENSは痙縮やバランス機能の回復を促進することが示されており^１）、足関節へのTENSとtask-related training（課題関連トレーニング）の組み合わせが、脳卒中患者の歩行速度および持久力を有意に改善させることが報告されている^２）。一方、Task-related trunk training（課題関連体幹トレーニング）の有効性を支持するエビデンスが示されているが^３）、体幹の課題関連トレーニングにTENSを併用することの効果は十分明らかではない。
　本論文では、麻痺側広背筋と外腹斜筋への高周波TENSと課題関連体幹トレーニングの併用効果を検証し、TENSの併用が体幹の運動制御を改善させることを明らかにしている。TENSと課題関連トレーニングの併用は、TENS刺激部位の運動機能を改善させることが示されており^２）、体幹へのTENSについても体幹運動の対称性や上肢帯や骨盤帯の運動制御を高める上で重要な役割を果たしているものと考えられる。TENSと課題関連トレーニングそれぞれ単独の有効性に加え、それらの手法を併用することにより、姿勢制御の改善を促進するという知見は臨床応用する意義が大きい。
　今後、本研究の対象者とは異なる病期における併用効果、TENSの刺激条件や刺激部位の差異、より効果的な課題関連体幹トレーニングのプログラムの検証などが求められる

1)　Lin S, et al. Influence of transcutaneous electrical nerve stimulation on spasticity,
　　balance, and walking speed in stroke patients: A systematic review and meta-analysis.
　　J Rehabil Med. 2018; 50(1): 3-7.
2)　Ng SSM, et al. Does the use of TENS increase the effectiveness of exercise for improving
　　walking after stroke? A randomized controlled clinical trial. Clin Rehabil.
　　2009; 23(12): 1093-1103.
3)　Criekinge TV, et al. The effectiveness of trunk training on trunk control, sitting and
　　standing balance and mobility post-stroke: a systematic review and meta-analysis.
　　Clin Rehabil. 2019; 33(6): 992-1002.