理事長挨拶

 こんにちは
日本精神・心理領域理学療法研究会理事長の上薗です。

 2021年度は、日本理学療法士学会連合スタートの年となりました。精神心理領域理学療法部門も、日本精神・心理領域理学療法研究会として再スタートを切りました。初年度は、たくさんの変更等があり、会員の皆様にもご不便が多かったのではないかと思います。先日、当研究会内での総会を終え、2022年度からの新しい任期が始まり、新しく加わってくれた理事と、継続的にご尽力いただいている理事と、評議員、会員の皆様と一緒により良い研究会となり、またそれが普段の臨床に活かされていくように、力を合わせてやっていければと思っております。
 2022年度については、診療報酬改定にてまた新しく精神科救急の場面での疾患別リハが算定可能となり、理学療法士として精神疾患のある患者様への身体的なアプローチの幅がさらに広がることとなりました。2016年度には認知症リハビリテーション料が算定可能となり、2020年度の改訂で、精神科療養病棟での疾患別リハが算定できるようになったり、精神疾患を持つ患者様に対しての身体疾患へのリハビリテーションニーズはどんどん増えてきています。
 当会は設立11年目になりますが、ここ5-6年は多施設研究や科研費研究等の研究施設集積などに貢献し、一般演題発表や論文発表等を行っています。また、現場にいる理学療法士が切磋琢磨し、精神疾患を持っていても患者さんはちゃんと機能回復、ADL改善等に至ることができることが確認されています。また、精神療養病棟入院中の患者については、ロコモティブシンドロームの指標を用いた検査にて、ロコモ度が重度であると、現場看護師が退院を想定したゴールを立案しなくなることが判りました。精神科では転倒転落もよく起こる医療事故として現場の関心事になってします。理学療法士の活躍の場は、本当にたくさんあるのです。一番新しい知見として、精神科療養病棟での知見も加わるようになり、徐々にではありますが、精神科の現場での理学療法士の役割や貢献について、学術的な裏付けがなされるようになってきました。
 しかし、まだまだこの分野は学術的にも、職能的にも未熟で、これから発展、成熟していく分野です。当部門では、以前より、他分野(学校教育、嚥下、発達障害、身体疾患に起因したうつ)等とのコラボレーション企画を研修会でも実施しております。これは、理学療法士が精神疾患、精神症状について理解をし、現場でより多くの患者様にとって良い医療を提供できること、また、その結果理学療法士が多く、この精神心理領域で活躍できることを、支援していくことを大前提の目的としています。
 学校教育ではあまり触れられてこなかったと思いますが、現場に出ると、必要性について理解される方が多い分野の一つであると思います。今後は学校教育でも取り扱っていただく機会を増やしつつ、多くの理学療法士がより質の高いリハビリテーションを現場で行うことができるように、活動の質を高め、幅を広げていきたいと思います。

皆様の、研究会へのご参加をお待ちしております。
 

2022年5月
日本精神・心理領域理学療法研究会
理事長 上薗 紗映