代表運営幹事挨拶

 この度、2019-2020年度の日本心血管理学療法学会の代表運営幹事に選出されましたので謹んでご挨拶申し上げます。
 本学会は、日本理学療法士協会の機関である日本理学療法士学会の分科学会として2013年に発足しました。前代表運営幹事である渡辺敏先生(聖マリアンナ医科大学病院)の強いリーダーシップのもとで成長を続け、2019年4月1日現在、日本心血管理学療法学会の登録会員数は8428名となっており、運動器、神経、地域、呼吸、スポーツ、基礎に次ぐ規模となっております。
 今期より学会の更なる成熟と持続的な発展を目的に委員会や部会の構成員を見直しました。学術大会調整委員会は、今季及び次年度以降の学術大会大会長、副大会長で構成しました。広報、ガイドライン、研究推進は継続として、組織の継続性を確保しました。研究の法制・公平性を確実なものにするために、倫理審査部会は研究経験豊富な幹事経験者から選ぶことにしました。また分科学会企画部会に若手気鋭の臨床家や研究者を配置し、新たな活動の流れを提案していただき実行していくことにしました。これらにより委員会、部会の活性化と持続可能な活動が可能となり、効果的な活動ができるものと考えています。
 日本心血管理学療法学会は、毎年、会員数が増加し、設立後6年間で多くの成果を上げてきました。一方、人口減少社会の中で、循環器疾患患者数は増加の一途をたどっており、少子高齢化も相まって、循環器疾患での死亡者数は増加を続け、また要介護の原因としても脳卒中と合わせると25%を占めています。我が国の医療費は年々増加し42兆円を超えていますが、医療費を最も多く使用しているのが、高血圧や脳卒中を含む循環器疾患です。このような現状を受け、2018年12月10日の衆議院本会議で、議員立法の「脳卒中・循環器病対策基本法」が全会一致で可決、成立しました。法案の正式名称は「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法案」といい、国は基本理念にのっとり、循環器病対策推進基本計画を策定し、対策の効果への評価を踏まえて少なくとも6年ごとに計画の見直しを検討することになっています。また、医療保険者に対しては、国や地方公共団体が行う循環器病予防の普及啓発などの施策に対する協力を求めることになっています。すなわち、脳卒中・循環器病対策基本法が成立したことによって、循環器病の予防と治療体制整備を推進することが決まりました。この大きな動きに対して、日本心血管理学療法学会も積極的に協力し、理学療法士の存在感を示していかなければなりません。
 現在、我が国における心大血管疾患リハビリテーション料の件数はわかりますが、それらの患者さんの運動機能の回復程度や経過は不明で、理学療法の効果や予後に関する全国的なデータはありません。循環器疾患で入院してきた患者さんが、十分に心身機能が回復しないまま退院している割合や件数は全く分かっておらず、健康寿命延伸に理学療法士がどれだけ必要とされ、これまで貢献してきたのかは明らかになっていません。これらの課題は少数の施設でこじんまりとデータを共有するのでなく、学会として多くの会員や多くの施設の協力を得て明らかにしていく必要があります。脳卒中学会等循環器関連学会と共同で策定された「循環器病克服5か年計画」を理解して全面的な協力をしていく覚悟で臨みます。
 2019-2020の2年間で、5つのアクションプランを掲げました。
1)諸策の立案や診療報酬に資するデータベースを構築するため、心血管理学療法学会が主体となった多施設登録研究を実施する。
2)心血管疾患の、病期別に最低限これだけは行うべきという評価を明確にし、理学療法評価の標準化を推進する。
3)心血管理学療法学会の登録者数10,000人を目指す。
4)心血管理学療法ガイドラインを完成させる
5)関連上位学会との交流を推進する
 
 我が国ではこの先も少子高齢化が進み、循環器疾患患者数が増加することが予想されています。5つのアクションプランを達成するために、会員の皆さんの継続的な協力をお願いいたします。日本理学療法士学会初の学会主導による多施設登録研究を開始し一定の結果を得ることで、国内はおろか、日本の循環器理学療法のすばらしさをアジアの諸国に広める基盤にもなります。
 今後2年間、WCPT東京開催の2023年、または2025年を見据えながら、全力を傾けて上記の課題に取り組んでいく所存です。
 会員の皆様におかれましては、これまで同様の温かい御指導、御支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
 
 
2019年7月25日  日本心血管理学療法士学会 代表運営幹事 高橋哲也