第7回学術大会 緊急シンポジウム

「新型コロナウイルスに対する予防理学療法の視点と対応」
COVID-19情報収集事業の成果報告

西川 正一郎
葛城病院リハビリテーション部 
理学療法課 課長

略歴

平成12年3月  阪奈中央リハビリテーション専門学校 卒業
平成12年4月  医療法人大植会 葛城病院 入職
平成19年3月  産業能率大学通信教育課程 経営情報学科 卒業
平成22年  生活環境支援系専門理学療法士 取得
平成28年~  日本予防理学療法学会 運営幹事
令和2年3月  関西医療大学大学院 保健医療学研究科 卒業
 

資 格
専門理学療法士(生活環境支援) 住環境コーディネーター2級
医療安全推進指導者

活 動
所属:日本医療マネジメント学会
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
日本予防理学療法学会(運営幹事)

講演要旨
司会の立場として
 2019年末より、中国武漢地区における新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が確認され、全世界で感染が広まる中、日本予防理学療法学会が加盟しているIPTOP(International Association of Physical Therapists working with Older People)のハンス会長(オランダ)より、感染における高齢者の予防に対する呼びかけが2020年3月20日に届きました。我が国においては、2020年4月7日初めての緊急事態宣言が発出され、理学療法士が勤めている大多数の医療・介護業界の感染対応、養成校における実習の中止など、理学療法士・作業療法士法が制定されてから、初めての事態となりました。この未曾有の事態に対して、日本理学療法学会より「今できることを分科学会から発信してはどうか」との提案を頂き、4月17日にSNS、同月20日にメルマガにてボランティア募集を行い、23日には150名の参加表明を頂けました。本事業の調査は、7つの調査項目に分類を行い、各調査班の班長を中心に24日より班長間で話し合い、28日より班活動を開始しました。作業の第1報は、5月14日に啓発ポスターをホームページへ掲載したことを皮切りに、各班の調査報告の掲載を行うことができ、大変短い期間の作業でございましたが、ボランティアスタッフに協力頂けたことで、学会として会員へ情報提供することができました。
 今回の調査項目は、1)新興感染症の歴史、2)COVID-19関連エビデンス、3)社会的制約の改善について、4)感染予防の行動変容、5)在宅勤務による環境対策、6)身体活動制限対策、7)こころの健康予防、以上の7項目について活動を行いました。今回は、班員の先生に各班を代表して調査内容を報告頂き、COVID-19に対して、理学療法士が予防の観点でどのような行動や活動を行うべきか、また、我々が取るべき行動についてディスカッションを行います。  しかしながら、COVID-19の対策についてご注意頂きたい点としまして、調査内容は現時点の情報収集であり、その為、不明確なことも多く、状況によって内容が変更されている場合があります。情報収集した事例は、現時点における参考事例であり、本学会が推奨しているものではありません。掲載事例を参考に事業の実施を検討する場合は、関連する自治体などと十分に協議したうえで導入を検討し、それぞれの施設の状況にあった判断をお願いいたします。現時点で多くの入院患者、外来患者はCOVID-19の検査を受けていないと予測されます。その為、患者や利用者と接する際、感染リスクのあることを念頭においた対策が必要になります。  最後になりますが、今回のCOVID-19によって、世界の国々で感染された方々の早期回復を願うと共に、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また昼夜に亘る懸命なる医療行為に携わる医療従事者の方々に感謝致します。本学会におきましても、学会開催が「with コロナ」を意識した中で、新たな社会様式を取り入れたWeb学会を皆で考えていく機会となることを願う次第です。

シンポジスト紹介
シンポジスト1 「新興感染症の歴史の視点から」
  内藤 紘一 氏 (白鳳短期大学)

シンポジスト2) 「COVID-19の予防理学療法分野に関連する最新のエビデンス」
  加茂 智彦 氏 (日本保健医療大学)

シンポジスト3) 「社会的制約とその改善に向けて」
  野口 泰司 氏(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター)

シンポジスト4) 「感染予防行動変容に関する対応について」
  森山 信彰 氏 (福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座)

シンポジスト5) 「在宅勤務による環境変化対策について」
  羽生 匡宏 氏 (前橋医療福祉専門学校)

シンポジスト6) 「身体活動制限対策の視点から」
  安福 祐一 氏 (千葉大学予防医学センター)

シンポジスト7) 「心の健康予防の視点と対応」
  徳弘 郁絵 氏  (社会医療法人仁生会細木病院 リハビリテーション課理学療法室)