第8回日本予防理学療法学術大会 大会長挨拶

予防理学療法学の思考と応用

 2019年末より、中国武漢地区における新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が確認され、全世界で感染が広まる中、日本予防理学療法学会が加盟しているIPTOP(InternationalAssociation of Physical Therapistsworking with Older People)のハンス会長(オランダ)より、感染における高齢者の予防に対する呼びかけが2020年3月20日に届きました。我が国においては、2020年4月7日初めての緊急事態宣言が発出され、理学療法士が勤めている大多数の医療・介護業界の感染対応、養成校における実習の中止など、理学療法士・作業療法士法が制定されてから、初めての事態となりました。超高齢社会を迎えたわが国にとって、「予防」というキーワードを改めて考えさせられる機会となり、感染予防、高齢者の自粛によるフレイル予防、心の健康予防など明確に課題が現れたコロナ禍でありました。
 社会的な変化がある中で理学療法士という職業は、多種多様な職域を広げつつあり、今回のパンデミックに対して社会的使命を持った活躍が各業界で日々研鑽されており、理学療法に関しても思考と応用を求められる時代となっております。近年は特に超高齢化社会の課題について研究された成果が、社会貢献につながることも学会の大切な役目だと常日頃感じており、多くの仲間と様々な課題について議論を重ね、学会としても議論できる場を提供できるよう新しい生活様式に対応したWeb学会を準備します。医療だけではなく、社会全体を捉えたビジョンでディスカッションできることを楽しみにしております。
 予防分野は非常に幅広く、超高齢社会を支える側の学童期、青年期世代の成長に関する予防、高齢者に対する介護予防を学術的に検証する側面を持っております。この背景を踏まえ予防医学(理学療法)を展開する機会が増えており、有用なアウトカムを得られた研究や実績が多数報告され、本学会にて共有することが皆様への有益な情報配信になると信じております。共催します産業理学療法部門、栄養嚥下理学療法部門、学校保健・特別支援教育理学療法部門においても、次の未来指針に繋がる重要な時期であり、それぞれの分野における専門性追求し、共に実りある会の実現を祈念しております。

 
第8回日本予防理学療法学会学術大会
学術大会長  西川 正一郎
                                         
第4回産業理学療法部門研究大会
研究会長  岡原 聡
                              
第5回栄養・嚥下理学療法部門研究大会
研究会長  吉田 剛
                                                     
第3回学校保健・特別支援教育理学療法部門研究大会
研究会長  眞鍋 克博