キックオフミーティング

期日 平成26年5月29日(木)
会場 TKP横浜ビジネスセンター

キックオフミーティングレポート

第49回日本理学療法学術大会の前日の5/29(木)、横浜に全国から60名以上の予防理学療法に関係している理学療法士が集結し、日本予防理学療法学会のキックオフミーティングが開催されました。
各運営幹事からご講演いただき、日本予防理学療法学会の今後について具体的な方向性が提案されました。ひとえに予防理学療法と言っても、分野が多岐に渡る中で、各理学療法士がそれぞれのフィールドで予防理学療法を推進し、確立していくことの重要性を再認識する良い機会となりました。
まずは、2月8日の第1回日本予防理学療法学術大会に向けて、日本予防理学療法学会は邁進していきます。 

文責:山王リハビリ・クリニック 植田拓也

キックオフミーティングダイジェスト(PDF)

日本予防理学療法学会のめざすもの
   東京都老人総合研究所 大渕修一 代表運営幹事
<ダイジェスト>
予防理学療法は,国民がいつまでも参加し続けられるために,障がいを引き起こす疾病や老年症候群の発症と再発への身体活動を伴う予防について,研究する学問領域である.これは健康増進の概念を含むものであり,健康増進の一翼を担う.予防理学療法の確立を通して高騰する社会保障費抑制案を提案したい.地域,学校,職場などさまざまな場所で,国民の健康を支える役割を担いたい.

すべてのことが予防につながる!?ーPT業務と予防理学療法ー
   広島大学大学院医歯薬保健学研究院 浦辺幸夫 運営幹事
<ダイジェスト>
医療現場で行われる理学療法は,およそ障がいが発生してからの治療となることが多い.障がいが発生する前に予防することができれば,それに勝る治療はない.理学療法士は予防という分野で,介入効果のエビデンスを蓄積しなければならない.また予防理学療法の手段として,健康増進・障がい予防のためのグッズの開発や普及も必要である.それらの紹介も行った.

産業保健・労働分野における予防理学療法~アクティブエイジングとプロダクトエイジングへの理学療法参画にむけて~
   九州栄養福祉大学リハビリテーション学部 廣滋恵一 運営幹事
   関西労災病院治療就労両立支援センター 高野賢一郎 運営幹事
<ダイジェスト>
近年,生産年齢人口の減少に対し高齢者の雇用が進んでいます.しかし,66歳以上の雇用を視野に入れる企業は少なく,健康確保対策は疾病予防・管理が中心であり,加齢に伴う心身機能低下への認識は高くありません.20~30歳代の運動習慣のある者は1~2割に留まっており,若い世代からの健康教育や加齢に伴うリスク要因を低減させる取り組みが必要です. 高齢でも,暦年齢に捉われずに日常生活や労働生活を営める心身機能を保持し,生産性を発揮できる社会を実現するために,若い頃からエイジ・マネジメントを行い,高齢期の労働意欲や生産能力で得られる自信を高めることが重要で,ここに理学療法の貢献が期待されます.

 再発予防ガイドラインの作成について
   東京工科大学 医療保健学部 高橋哲也 運営幹事
<ダイジェスト>
理学療法士は,まず目の前の患者さんの再発予防に責任を持つ必要があり,予防理学療法学会を中心に再発予防ガイドラインを作成することが提案されています. また,WCPTは理学療法の対象分野に健康増進・予防を記載し,非感染性疾患(NCDs:がん,糖尿病,循環器疾患,呼吸器疾患など)に対し重要な役割を担うとしています.WHOにおいても,日本の提案でNCDsと高齢化への対策強化が決議され,目標の詳細や指標の設定が行われています.日本においても第2次健康日本21の身体活動基準が改定されるなど,健康づくりが推進されています.再発予防・健康増進・疾病予防において予防理学療法の果たす役割はより重要となります.