研究会長挨拶

 この度、神戸にて日本理学療法士学会がん理学療法部門主催「第3回がん理学療法部門研究会」を開催させていただくことになりました。
 2018年に閣議決定されました「第3期がん対策推進基本計画」では、分野別施策(がん医療の充実)の一つとして「がんのリハビリテーション」が挙げられるとともに、小児や高齢者など「ライフステージに応じたがん対策」や「がんと診断された時からの緩和ケア」など、今後理学療法士が関わらなければならない領域への対策の必要性が謳われています。また、がん患者のさまざまな機能障害や日常生活活動制限の予防や改善、QOLの向上を目的に理学療法を行っていく際には、適応する理学療法の効果に関するエビデンスの構築が重要となります。しかしながら、わが国におけるがん理学療法の分野では、未だ十分な介入効果のエビデンスが構築できていないのが現状です。
 本研究会では、テーマを「がん理学療法を次のステージへ」とし、ライフステージやさまざまな障害像に対応するための理学療法の治療戦略に関する最新の知見についての講演を多数企画いたしました。
 「ライフステージ」への対応につきましては、小児がんに対する治療戦略と理学療法アプローチ、また、高齢がん患者に如何に対応すべきかについての講演を、「緩和ケア」につきましては、がん悪液質およびがんサバイバーが有する慢性疼痛のメカニズムやアプローチに関する講演を当領域のスペシャリストの先生方に行っていただきます。また、エビデンスの構築に今後必要不可欠となるビッグデータの活用法についてもご講演いただきます。
 是非この機会をご活用いただき、「がん理学療法を次のステージへ」ステップアップさせるために、我々はどのように進むべきなのかを一緒に考えていただければと思います。
皆さまと神戸でお会いできることを楽しみにいたしております。


日本理学療法士学会がん理学療法部門
「第3回がん理学療法部門研究会」大会長
井上 順一朗
(神戸大学医学部附属病院リハビリテーション部)