機能的電気刺激FESは1961年のLibersonらによる脳卒中片麻痺患者の総腓骨神経を電気刺激して歩行を補助した研究に始まるが、この時すでに電気刺激後も足関節背屈が改善する症例について言及されている。その後1970年代にこのFESの長期使用による治療的効果についての論文が出されており、最近ではRobins (2006) らによるメタアナリシスも報告されている。これらは表面電極を用いたものである。
FESは表面電極を用いる装置と、埋め込み電極を用いる装置があり、それぞれ長短がある。特に手術の必要性が大きな問題であるが、筆者らは、脳卒中による片麻痺はその後の一生の問題であり、一旦電極を埋め込めば電極位置を決定する必要のない埋め込み電極型を推奨しており、STIMuSTEP®(
www.finetech-medical.co.uk)を用いている。一方、表面電極による装置も、電極位置の決定に工夫をしたものもあり、一般的には表面電極による装置が普及していると言ってよい。
我が国では、現在、脳卒中片麻痺患者の背屈補助用のFES装置で市販されているものはないが、欧米などでは、例えばNESS® L300(フットスィッチと刺激装置をワイヤレスで接続:
www.bioness.com)やWalkAide®(傾斜センサーを用いてフットスィッチが不要:
www.walkaide.com)などがあり、07年のVancouver WCPTでも機器展示されている。理学療法士が容易に試みることができる表面電極による使いやすいFES装置が我が国にも導入されることが期待される。