腱板構成筋群は、肩関節運動において関節窩に上腕骨頭を求心位に引き付ける重要な役割がある[6.9.13.]。そのため、特に棘上筋のエクササイズに目が向けられている。
棘上筋の筋力強化エクササイズの最初の提案は、1982年JobeとMoynes[7.]が報告しており、“empty can”肢位として知られている。“empty can”肢位を実質的に改良した“full can”肢位[8.]は、疼痛の誘発が少なくより上質な代用として、後に紹介されたものである。その他、ベッド上での腹臥位で肩関節中間域(約100度位)の挙上位[3.10.]、ペンダント肢位と称される上腕体側位の外旋[6.]、ベッド上で腹臥位での肩関節外転位外旋肢位(外旋90度位)[1.16.]の3つの肢位の報告がある。
残念なのは、これら5つの肢位間で棘上筋の活動性を同時に比較している研究はなく、棘上筋エクササイズといえば“empty can”と“full can”肢位[4.14.]を用いられることが一般的であった。