対象は音楽に関するトレーニングを受けたことのない右利き健常成人9名とし、神経学的既往及び精神医学的あるいは聴覚的な問題がない者とした。実験デザインは練習段階とfMRI撮像段階の2段階とした。練習段階は5日間とし、インタラクティブソフトウエア(耳による演奏学習)を用いて被験者に新奇な楽曲のピアノパートの弾き方を習得させた。練習は、5つのキー(F,G,A,B♭,C)上に右手指を置き実施した。聴覚-運動学習の評価として、習得時間の計測とピッチ-認識-演奏テスト(PRP)を練習前・後に行った。PRPは、30個の音符(練習した5つの音符のセットからなる)を聴かせ、聴いた音符と同じ音符の鍵盤を右手指で押させた。聴覚刺激は、特別に制作した3つの楽曲(各24秒8小節・全15音符,80bpm)を用いた。1曲(練習課題:行動‐聴覚条件)のみ弾き方を習得させ、他の2曲(コントロール条件:①異なる音符で構成(F♯,G♯,B,C♯,D♯)、②異なるメロディで構成(F,G,A,B♭,C))は聴かせるのみとした。練習課題の習得後、実験2段階目を実施した。5~8秒の短小節の音楽(全32短小節, 3つの楽曲から抜粋した小節を編成したもの)を聴かせた後にfMRIを撮像した。その後、3つの連続した音(3トーン認識課題)を聴き、もし聴いた音符が先行して聴いた音楽であれば左手でボタンを押すという行動調整課題を行った。