1)退院先と入院期間
両群の44.5%がリハビリ施設へ転院、55.5%が自宅へ退院した。入院期間は直接自宅に退院した群で平均9.3日(中央値9日、4~28日)、入院リハビリを必要とした転院群で10.6日(中央値10日、4~41日)であった。
2)評価モデルの開発
単相関分析の結果、年齢、性別、術前歩行可能距離、歩行補助具の有無、地域サービス利用の有無、介護者の有無、患者の退院先の希望、の7項目が退院先と優位な関係にあった(P<0.001)。その他の2項目(合併症p=0.28、環境p=0.30)は評価項目から除外された。有意な関連を認めた7項目がロジスティック解析にかけられ、予測率は83%だった。「患者の退院先の希望」が最もオッズ比が高かったが(オッズ12.94;95%信頼区間,7.65-21.89,P<0.0001 )、他からの影響が大きいと考えられ除外することとした。除外後の6項目でも予測率は75.2%(X2=161.49 P<0.001)と一定の値を維持していた。オッズ比から重み付けを整数で行い、3項目(年齢、歩行可能距離、歩行補助具)はそれぞれ3つのレベルに分け、最大得点12点のRAPTを完成させた。
3)妥当性の検証
この評価法を検証群に用いた。130症例中4症例がデータ不完全で除外され、126例中94例の退院先を正しく予測でき、予測率は74.6%(X2=44.26;P<0.001)であった。予測できなかった32症例のうち29症例は自宅退院が予測されたにも関わらず回復期施設へ退院し、3症例はリハビリ継続が必要と判断されたにも関わらず自宅へ退院した。この32例を分析すると対象関節の違いはほとんどなく(股関節28%vs膝関節24%)、そのほとんどが6~9点群に集中している。全症例の評価から>9点は自宅退院、<6点は回復期施設への転院、6~9点では術後介入によって退院先が変化すると言える。