本研究はメタアナリシスを伴うシステマティックレビューで、脳卒中患者に対する筋力増強運動が筋力、痙性、ADLに及ぼす効果を検討した。MEDLINE、CINAHL、Embase、PEDroの4つの電子データベースを用いて系統的検索が行われた。論文はPEDroスケールを用いて評価され、最終的に21編が選択された。PEDroスケールの平均点は10点中4.7点であった。
メタアナリシスの結果、筋力増強運動が筋力を改善するうえでの総合的な効果量は0.33(95%信頼区間0.13~0.54)であった。病期と筋力のベースラインによって分類した場合、急性期・筋力大幅に低下:0.33(-0.05~0.72)、急性期・筋力低下:0.45(0.12~0.78)、慢性期・筋力大幅に低下:0.91(-0.02~1.84)、慢性期・筋力低下:0.18(-0.22~0.58)であった。筋力増強運動が痙性に及ぼす総合的な効果量は、-0.13(-0.75~0.50)であった。筋力増強運動がADLに及ぼすうえでの総合的な効果量は、0.32(0.11~0.53)であった。病期と筋力のベースラインによって分類した場合、急性期・筋力大幅に低下:0.46(0.11~0.81)、急性期・筋力低下:0.56(0.14~0.98)、慢性期・筋力大幅に低下:0.63(-0.27~1.54)、慢性期・筋力低下:0.22(-0.11~0.54)であった。
脳卒中患者に対する筋力増強運動は、痙性を悪化させることなく筋力とADLを改善させるというエビデンスが得られた。