本研究では、Gross motor function classification system (GMFCS) レベルⅠ20名、Ⅱ13名の成人痙直型脳性麻痺者33名(15~51歳)を対象に等尺性足関節底屈筋力・背屈筋力と足関節周囲の硬さおよびGMFCSが、機能的能力を表す6分間歩行距離やlateral step-test (LST)、Timed up-stairs (TUS)に関連する要因かを検討している。各測定は装具を履かない状態で行われた。
重回帰分析の結果、底屈筋力が6分間歩行距離、LST、TUSのいずれにも関連する要因として抽出され、底屈筋力単独の寄与率はそれぞれ61%、57%、50%だった。底屈筋力の他にGMFCSが6分間歩行距離、LST、TUSのいずれにも関連する2つ目の要因として抽出された(寄与率はそれぞれ77%、68%、64%)。LSTとTUSでは3つ目の要因として年齢が抽出された(寄与率はそれぞれ76%、72%)。足関節や腓腹筋の硬さ、足関節可動域は6分間歩行距離、LST、TUSの値と相関関係にはそれぞれあったが、機能的能力に関連する要因として重回帰分析を行うと、関連要因として抽出されなかった。