うっ血性心不全患者の遠隔モニタリング医療(遠隔医療)と看護ケアに理学療法士(or/and)作業療法士によるリハビリテーションを付加することによる再入院率への影響を検討することが目的である。対象は2013年3月から1年間、一次または二次診断でうっ血性心不全と診断されて退院したのちにメディケアパートAを利用して遠隔医療によって管理された132名(平均年齢80.9歳)とした。遠隔医療は心不全患者の毎日の健康状態(血圧、心拍数、経皮的酸素飽和度、体重)が在宅医療機関の中央コンピューターに送信されて看護師が異常を確認した。理学療法士は運動を通して有酸素能力や心機能の維持を担い、作業療法士はエネルギー効率のよい日常生活とIADLの方法を指導した。分析は遠隔医療と看護ケア群(看護群)とこれらにPT (or/ and) OT利用の2群(PT or OT群、PT and OT群)の計3群で再入院率を後方視的に比較した。交絡因子は過去12か月の入院歴、2回以上の転倒歴、虚弱指標や心房細動などの併存疾患、うつ病の有無としてχ2検定およびコクラン・マンテル・ヘンシェルχ2検定によって比較した(p<0.05)。各群の平均年齢は看護群76.8歳、PT or OT群81.7歳、PT and OT群82.2歳であり、分散分析の結果3群間に有意な差はなかった。再入院率は退院後60日以内では看護群44%、PT or OT群25%、PTand OT群33%であったが3群間には有意差はなかった(p<0.05)。交絡因子は再入院回数、転倒歴、うつが関与したが(p<0.05)、3群間の再入院率には影響していなかった。虚弱とうつ該当は看護群では72.0%と56.0%、PT or OT群では52.5%と22.5%、PT and OT群では31.3%であった。リハビリテーションの付加は再入院率の抑制に影響するとは言えないが、遠隔医療と看護ケアを利用する者は虚弱やうつが多いことが明らかとなった。