理事長挨拶

日本筋骨格系徒手理学療法研究会
理事⻑ 浅田 啓嗣

本会の前身である日本理学療法士学会・徒手理学療法部門は 2013 年に設立され、会員の技能向上と学 術活動推進を目的に、各種セミナーや学術大会(日本運動器理学療法学会、ウィメンズ・メンズヘルス理 学療法部門と共催)を開催して参りました。また、世界理学療法連盟(World Physiotherapy)の筋骨格 系サブグループである国際徒手理学療法士連盟(International Federation of Orthopaedic Manipulative Physical Therapists:IFOMPT)に登録された国内組織の整備・連携の機能も担って参りました。この度、 2021 年に設立された日本理学療法学会連合に学術団体会員として加入し、徒手理学療法部門は名称を新 たに日本筋骨格系徒手理学療法研究会へと発展しました。
徒手理学療法とは「徒手的技術と治療的な運動を含む高度に特異的な治療アプローチを 用いた、臨床 推論に基づく神経筋骨格系の状態をマネージメントするための理学療法の専門領域(IFOMPT, 2004)」 と定義されています。古来、治療に使用されていた徒手的技術は各国の理学療法士が体系化し、筋骨格系 障害に対する理学療法技術へと発展しました。さらに現代の理学療法技術は神経生理学、行動科学に基 づく能動的な運動療法・生活運動指導との複合的介入へと変化しています。筋骨格に問題が生じると、そ の部位だけでなく神経系を含む他の部位にも影響を及ぼすため、対象者の状態や変化に合わせて運動シ ステムのあらゆる側面に対処していく必要があります。
本会の活動は特定の手技や体系を推奨するものではなく、筋骨格系障害に対する評価および治療にど のような理学療法技術を選択し用いるべきか、どのような治療的介入が有効であるか、その科学的根拠 を示していくための研究活動を推進していきたいと考えています。また、臨床研究だけでなく、理学療法 士による介入が生体に対するメカニカルストレスとして、組織にどのような影響を与えるかについての 検討も重要な課題であり、基礎医学分野の研究者の入会も大いに歓迎いたします。引き続き技能向上の セミナー開催や IFOMPT との国際的な情報共有も進めて参ります。国⺠の健康増進に貢献すべく、社会 に役立つ活動になるよう取り組んでいく所存です。皆様のご協力、ご指導を何卒よろしくお願い申し上げます。